派遣労働者から無期雇用へ
政府が「派遣労働の上限3年」を一律で適用する方向で検討中のようです。
今までは、3年以上派遣を「同じ仕事」で使ってはいけないルールでしたが、3年直前に入れ替えさえすれば、ずっと働いてもらえることとなります。
さらに、今年から全ての有期雇用も上限5年とされ、それを過ぎれば無期雇用転換が義務付けられることとなりました。これにより、5年経過直前に雇い止めされる事が確実であり、実際に一部の大学では非常勤講師と大学との間で雇い止めをめぐる法廷闘争が勃発しています。
政府が、派遣労働3年→有期雇用5年→無期雇用 という流れにもっていきたいという意図がうかがえます。
その流れを促す補助として「キャリアアップ助成金の正規雇用等変換コース」が今年新しくでました。
その裏側には?
しかしながら、なんとしてでも「終身雇用」を守りたい。という政府の意図もうかがえ、その他様々な課題も浮上してきます。
派遣から無期雇用までの、ストレートコースを登っていくのならば良いのですが、なかなかそうもいきません。企業側としてはその都度その都度の雇い止めし、「数年でいなくなってしまってもかまわないような仕事」だけを選んで非正規雇用労働者にまわす様な事態も予想されます。これによって、正社員よりもノウハウをもっていたベテラン契約社員からもそうした仕事が奪われ、より低いグレードの仕事を与えられる様になるでしょう。
非正規から正規への登用はそれなりに長い期間、正規に劣らないパフォーマンスを見せた場合にみられることが多かったですが、今後はその機会も激減するのではないでしょうか。
そのため、期間ごとに雇い止めされ、表向きは労働者の流動性は活発になります。
日本の潜在成長率を高める為には、労働市場の流動性を高める必要がある。と言われてますが、表向きは確かに流動性は高まることとなります。
しかし、真の求める流動性とは、そういった流動性ではありません。
この日本に古くから根付いている「終身雇用」概念。この考えこそが日本の経済成長を妨げるシステムだということは皆さんご存知でしょう。
終身雇用を脱却して、みえてくるものとは?
終身雇用制度の横並びの処遇を廃し、組織内での序列を流動的に見直す必要があるでしょう。勤続年数ではなく役割に応じた賃金、処遇を決定するシステムへの移行が必要ではないでしょうか。
このシステム移行。「外国人雇用」の定着化にも貢献することでしょう。
日本独特の保守的な「終身雇用」制度。外国人には馴染みがなく理解できないシステム。これが原因で一般的に外国人が日本の企業に3年もたずに辞めてしまうことが多いと言われてます。
「有能な外国人労働者」「有能な派遣労働者」がどんどん働いて若いうちからバリバリ出世する姿を目のあたりにし、「終身雇用」制度に慣れきってしまった正規雇用労働者を刺激し労働者全体のスキルアップが実現し、企業の活性化が期待されることでしょう。
さらにスキルアップを目指すひとは、他に目を向けそのスキルアップに見合う企業へと流れていき、そこにまた新たな、他の企業からの人材が流れてくる事でしょう。
現代の「働く」ことの意義そろそろ根本から改革すべきです。その人の人生において「働く」とは?企業が活性化する為に必要な人材の活性化とは?
しっかりと考えて改革するときです。一緒に改革していきましょう。
政府もしっかりと最後までビジョンを明確に示し政策を取っていくべきだと思います。