「好循環実現のための経済対策」が決定されました!

4月の消費増税に備えた経済対策(「好循環実現のための経済対策」)が閣議決定されました。概要を紹介します。

 

◆◆ 基本方針 ◆◆◆

●消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動減緩和のため、来年度前半に需要が発現する施策に重点化すること。

●一時的な反動減の緩和のみならず、力強い成長軌道に早期に復帰できるよう、経済の成長力底上げに資するとともに、持続的な経済成長の実現に資するため、消費や設備投資の喚起など民間需要やイノベーションの誘発効果が高い施策に重点化し、未来への投資とすること。

 

◆◆ 本対策の施策と規模 ◆◆◆

 

施 策 国 費 事業規模
Ⅰ.競争力強化策 1.4兆円程度 13.1兆円程度
Ⅱ.女性・若者・高齢者・障害者向け施策……下記参照 0.3兆円程度 0.4兆円程度
Ⅲ.復興、防災・安全対策の加速 3.1兆円程度 4.5兆円程度
Ⅳ.低所得者・子育て世帯への影響緩和、駆け込み需要及び反動減の緩和 0.6兆円程度 0.6兆円程度
  合 計 5.5兆円程度(注) 18.6兆円程度

 

(注) このほか、地方交付税交付金の増1.2兆円、公共事業等の国庫債務負担行為0.3兆円、財政融資0.1兆円

 

Ⅱの施策の主要部分の概要

・女性の力が社会の様々な分野で最大限発揮される「女性が輝く社会」の実現に向け、女性の雇用拡大や処遇改善の取組等の支援、民間人材ビジネスを活用した就業支援、育児等でキャリアブランクがある求職者の雇用促進、育児休業中及び復職後の能力アップの取組支援、女性の登用の促進に取り組む。

・若者全てがその能力を存分に伸ばし、成長の原動力としての若者の活躍を促進するため、職業訓練機会の充実、民間人材ビジネスを活用した就業支援や正社員就職支援などの取組を強化する。

・消費税率の引上げに加え、平成26年4月の年金の特例水準解消等を考慮し、老齢基礎年金、障害基礎年金等の受給者について簡素な給付措置(臨時福祉給付金(仮称))に加算措置を講ずる。また、生涯現役社会の実現に向けた高齢者の就業支援等を推進する。

・70~74歳の医療費自己負担については、平成26年度から新たに70歳になる者から段階的に法定の負担割合(2割)とする方向で検討し、所要額を当初予算に計上する。これに併せ、高額療養費の見直しも平成27年1月実施の方向で検討する。また、後期高齢者医療の保険料軽減特例措置についても、段階的な見直しを前提に検討に着手する。

 

経済効果は、実質GDP比概ね1%程度、雇用創出25万人程度と見込まれるとされています。また、経済の好循環を早期に実現する観点から、所得拡大促進税制の拡充・復興特別法人税の廃止(1年前倒し)も行う予定で、経団連や日本商工会議所などの経済界の評価も高いようです。

 

多重代表訴訟制度の創設等に係る会社法の一部改正案について

一部企業による巨額損失隠し事件や巨額背任事件等で企業統治のあり方が問われていますが、社外取締役が過半数を占める「監査等委員会」制度の導入や親会社の株主が子会社の経営陣の責任を追及できる「多重代表訴訟制度」の創設などを盛り込んだ会社法の一部改正案が国会へ提出されました。

■会社法の一部改正案の概要

11月29日、第185回臨時国会に提出された会社法の一部改正案の要綱見出しは全部で27項目列挙されています。以下、主要な項目についてそのポイントを紹介します。

◎監査等委員会設置会社制度

ポイント:会社機関構成の種類として、新たに監査等委員会設置会社を創設するもので、取締役会及び会計監査人から構成されるものです。なお、この制度を採用する場合は、監査役を置くことは出来ません。

◎社外取締役及び社外監査役の要件

ポイント:当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は2親等内の親族でないこと等も要件の一つとなっています。

◎発行可能株式総数

ポイント:公開会社でない株式会社が定款を変更して公開会社となる場合には、当該定款の変更後の発行可能株式総数は、当該定款の変更が効力を生じた時における発行済株式の総数の4倍を超えることができないものとされます。

◎特別支配株主の株式等売渡請求

ポイント:株式会社の特別支配株主(株式会社の総株主の議決権の10分の9以上を当該株式会社以外の者及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人が有している場合における当該者をいう。)は、当該株式会社の株主の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することが可能となるものです。

◎募集株式が譲渡制限株式である場合等の総数引受契約

ポイント:募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合において、当該募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、当該契約の承認を受けなければならないこととされます。

◎社外取締役を置いていない場合の理由の開示

ポイント:公開会社、かつ、大会社が対象となりますが、社外取締役を置いていない場合は「定時株主総会において理由を説明しなければならない」こととし、役員の親族などは社外取締役に就任できないよう要件が厳しくなります。

◎会計監査人の選任等に関する議案の内容の決定

ポイント:株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任等に関する議案の内容は、監査役(監査役会設置会社にあっては、監査役会)が決定することとなります。

◎企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備

ポイント:取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備が求められます。

◎親会社による子会社の株式等の譲渡

ポイント:株式会社は、その子会社の株式又は持分の全部又は一部の譲渡をする場合であって、次のいずれにも該当するときは、当該譲渡がその効力を生ずる日の前日までに、株主総会の特別決議によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければなりません。

(1)当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えるとき。

(2)当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。

◎準備金の計上に関する特則

ポイント:吸収分割株式会社が吸収分割の効力が生ずる日に剰余金の配当(配当財産が吸収分割承継会社の株式又は持分のみであるものに限る。)をする場合等には、第445条第4項(剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しなければならない。 )の規定は、適用しないものとされます。

◎株主代表訴訟の原告適格の拡大等

ポイント:親会社の株主が子会社の経営陣の責任を追及することが可能となります。

◎監査役の監査の範囲に関する登記

ポイント:監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社については、当該定款の定めがある旨の事項が登記事項として追加されます。

◎施行期日等

ポイント:公布の日から起算して1年6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

 参照ホームページ[法務省]

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji