近年、メンタルヘルス問題が急激に増加してきており現在では会社内でのメンタルヘルス疾患者率が5%とも言われております。
そのメンタルヘルス問題。何らかのメンタルヘルス疾患にかかり、会社を休職する人も増えてきています。
休職し、復職する場合休職理由がメンタルヘルス不全であることに、企業側は配慮が必要です。当面は残業させないなどの経過措置が必要になるでしょう。
ですが、長期休職後の復職となると、社内は休職の間業務は普通に進行していき、休職している人が重要なポストに就いていればいるほど、その人の代わりに、代理という形で他の人が業務を遂行していき、休職期間が長ければ長いほど、復職してすぐに代理の仕事をそのまま遂行させていくのは難しい事でしょう。
その状態が続くとやはり人事上の問題も出てきます。
人事ではその方の降格も視野に入ってくるかもしれません。こういう時、会社としてどういう手がとりうるのでしょうか。
昇進、降格については法律で定められてはいません。意図的にその人に会社を辞めさせる方向に持っていく意図で嫌がらせのような権利の乱用でなければ、会社側には人事権行使の裁量があり、職務遂行能力低下を理由に降格させることは可能です。
ただ、降格の精神的影響で病気を悪化、再発させてしまう可能性も考えなくてはいけません。元の役職のままで評価、処遇を下げる方法や本人のショックを和らげる肩書きにすると言う方法も良いでしょう。職務遂行能力が戻れば職位や所属を戻す可能性など、希望の持てる可能性についても触れておけるといいでしょう。
ただ、休職になる病気の原因が長時間労働によるものやハラスメントなど業務起因性であるかどうかの確認も必要です。業務起因性がある場合には一方的な降格は難しく、労災の可能性も出てきますから十分な配慮と本人との同意が必要になってきます。
メンタルヘルス問題は企業にとって社会的責任であるだけでなく、リスクマネジメントという側面まできていることも十分に理解しておきましょう。